和語って何でしょう。漢語って何でしょう。【日本語の語いの分類】
漢語は明治維新の前に中国から入ってきた言葉で、音読みする漢字表記の言葉です。和製漢語というのは、明治維新のあと、カタカナでは分かりにくかったり、和語でもむりな場合に新しく作られた漢語です。
和語は日本固有の言葉で「やまとことば」とも言われます。訓読みされ、ひらがな、漢字、カタカナで書かれます。
日本語を教えていると、生徒さんが使う言葉が不自然なので、どうしても直さなければならないことがあります。その分けはいろいろですが、わざとらしい、しっくりこない、ひびきが硬い、意味が違う、などです。経験では、響きが硬い、という例が多いと思います。
後で、表にして和語、漢語、外来語、混種語の四つを詳しく比べてみたいと思いますが、まず、語感を和語と漢語で比べてみます。
語感(言葉から受ける印象、ひびき)
和語:親しみ、優しくて雅、俗っぽい、柔らかい
優雅さと俗っぽさの両方があることはおもしろいですね。
漢語:洗練、抽象、優雅、硬質、専門的
川柳に「失念と言えば聞きよい物忘れ」というのがあります。失念は漢語、物忘れは和語です。ただの物忘れではなく、失態を隠すために使われる、この「失念」という言葉、あいまいな言葉で嫌な響きを感じるのは私だけでしょうか。政治家がよく使いますね。
ある人が「私はあなたの観念が好きです」とメールをくれました。英語のideaの訳語から「かんねん」という言葉を選んだのでしょう。「私はあなたの考えがすきです」でも、納得しづらいですね、私は。このメールは、私がカタカナの練習のし方に一つの案を示したことへの返事だったので、「私はあなたのアイディア(または発想)がすきです」が落ち着く気がします。
こんなふうに、漢語(観念・発想・見解)、和語(考え・思いつき)、外来語(アイデア・アイディア)の違いで、日本語として落ち着いたり、落ち着かなかったりします。それを決めるのは、文脈と場と母語話者の直感などでしょうね。
私たち日本人の学校での勉強は、ひたすら漢語を多く学ぶことだったように思うのです。例えば、「宿題を出します」の代わりに「宿題を提出します」と言い換えるような。[dashimasu]のほうが、[teishutsushimasu]より音の長さが短いのですが、一般的には、漢語のほうが語の長さは短いと言われています。つまり、「色の濃さとうすさ」より「色の濃淡」のほうが短いということです。
次は、和語、漢語、外来語、混種語の四つを表で比べてみます。
[この記事で漢語から和語に言い換えたことば]
分け←理由、親しみ←親近感、優しくて雅←優雅、し方←方法