ぎおんご・ぎたいご(オノマトペ) 1

 プレゼントの(はこ)()けるとき、わくわくします。


                                                                   魚が食いつくのをじっと待っています。
                                                                  

みなさんは、「おなかがぺこぺこです」と言ったとき、どんな感じがしましたか。
なんだか日本人ぽいな、と得意に感じたかもしれませんね。
日本語にはオノマトペ(音象徴語(おんしょうちょうご))が世界で二番目に多いそうです。(一番目は韓国語)
オノマトペは擬音語(ぎおんご)擬態語(ぎたいご)総称(そうしょう)として使います。

さて、日本語を日本語らしく話したり書いたりしようと思うとき、この「ぎおんご・ぎたいご」はとても役に立ちます。
きっと使ってみると自分の日本語が前より豊かになった気がするのではないでしょうか。
また、「ぎおんご・ぎたいご」は音の響きやリズムなど、言葉そのものの力を感じる言葉だと思います。

1. 「魚が食いつくのを待っています」
2. 「魚が食いつくのを長い間待っています」
3. 「魚が食いつくのを忍耐強く(にんたいづよ)待っています」
4. 「魚が食いつくのをじっと待っています」

4. では「じっと」という一つのぎたいごによって、2と3の説明調の意味がいともかんたんに表わされています。
まるで魔法(まほう)のようではありませんか!
  
楽しみながら、使える「ぎおんご・ぎたいご」を少しずつ増やしていってください。
その際、以下のような視点(してん)が正しい使い方のヒントになるでしょう。



1.  まずはどんなグループがあるか、見てみましょう。  
分類(ぶんるい) (金田一春彦(きんだいちはるひこ)による)
                                     
@擬声(ぎせい)語  ・・・・・・・・・ 生物の声            猫がニャーニャー鳴く。    犬がワンワン鳴く。
A擬音(ぎおん)語  ・・・・・・・・・  事物の音            雨がザーザーふる。       雪がしんしんとつもる。
B擬態(ぎたい)語  ・・・・・・・・・  無生物の状態         部屋がじめじめしている。    なっとうはねばねばしている。
C擬容(ぎよう)語   ・・・・・・・・・ 生物の状態
                                             生物の動きの様子        うさぎがぴょんぴょんはねる。 のらねこがうろうろする。

D擬情(ぎじょう)語 ・・・・・・・・・人間の感覚心理状態         道がこんでいて、いらいらする。 スピーチでドキドキした。



ふつうは、 @擬音語(物音や声の感じを言語音でまねたもの。その中の生物の声をまねたものを擬声語という)
        A擬態語(物の状態、動き、人の身ぶり、感情などを言語音で言い表したもの。
                  に分けることが多い。

* どの語がぎおんご・ぎたいごなのか、そうでないのかは、その言葉がどんな言葉から派生(はせい)したか、などによって
 研究者でも意見がことなったりします。



2.  音・形によるグループ分け

(1)
   @くりかえしがあるもの ・・・ いよいよ、かんかん、ころころ、すいすい  (畳語(たたみご)とも言います)
  A「っ」があって、「と」をつけるもの ・・・ ふっと、そっと、どきっと、ずっと 
  B「んと」になるもの ・・・  ぱたんと、ちゃんと、がたんと 
  C「○っ○り」になるもの ・・・ しっかり、ゆっくり、どっさり 
  D「○ん○り」になるもの ・・・ ぼんやり、しょんぼり、どんより 

(2)
  @「と」がかならずつくもの ・・・ぐるりと、さっと、やっと、ちゃんと
  A「と」がついてもつかなくてもいいもの ・・・ ふらふら(と)、びしびし(と)、ゆっくり(と)

(3)  
  @「に」がつかないもの ・・・ 星がぴかぴかひかる。×さっぱりに、×どんどんに、
  A「に」がつくもの ・・・ うでがぱんぱんにはれる。くつをぴかぴかにみがく。(状態の変化)



3.  共通部分をもっているもの

  ふわ ・・・ ふわふわ、ふわっ、ふわり、ふんわり
  ころ  ・・・ ころころ、ころっ、ころり、ころんころん、ころころっ、ころりころり
  から ・・・ からから、からっ、からり、からん、からんからん 
  がら ・・・ がらがら、がらっ、がらり、がらん、がらんがらん

  *学習者には、これらの使い分けがむずかしいですね。
      5. で音がどんなイメージとつながっているか見てみますので、今はここまで。



4. どんな言葉といっしょに使うか (共起性(きょうきせい)

  ○ なっとうはねばねばしている。
  × うどんはねばねばしている。
  ○ うどんはつるつるしている。
  × なっとうはつるつるしている。
  ○ なっとう/うどん/うなぎ/そうじをしていないプールの底はぬるぬるしている。
    × うどん/うなぎ/プールの底はねばねばしている。
  
  ねばねばする食べ物・・・なっとう、やまいも、オクラ、モロヘイヤ、なめこ、めかぶ 
  つるつるする食べ物・・・ うどん、そば、パスタ、ゼリー
  ぬるぬるするもの・・・ うなぎ、こけがうすく生えた道、油のついた手

  
  ○ 空がだんだん暗くなってきた。
  × 空がだんだん暗い。
  

  ○ 日本語がなかなかうまくならない。
  ○ 日本語がなかなかうまいいね。なかなかうまくなったね。
  × 日本語がなかなかへただ。なかなかへたになったね。

  
  ・「〜する」が後ろにくるか         例:○どきどきする、×そろそろする
  ・「〜だ、です」が後ろにくるか。 例:○どきどきです、そろそろです、×ぐんぐんです、うろうろです
  ・形容詞や名詞が後ろにくるか 例:○すべすべの手、すべすべ(と)した手、つんつんした人 
                          ×ごしごしした手、○手をごしごし洗う

 *ポイント 
    ・副詞的に使われることばなのか (多くはこのタイプです)    
    ・形容詞的に使われることばなのか
    ・その両方があるのか 
    ・どんな言葉と結びつきやすいのか
     




5. 音とイメージ

  か行 ・・・ かたいイメージ(鉄をかんかんたたく。のどががらがらする。)
  さ行   ・・・  なめらか、すばやい、すべるかんじ(すーっと、するり、すいすい、さっと)
  な行、は行 ・・・ やわらかいイメージ(ふにゃふにゃ、ふわふわ、ぐにゃぐにゃ)
  
  清音(せいおん) ・・・ 小さいもの(星がきらきら光る、小川がさらさらと流れる)
  濁音(だくおん)  ・・・ 大きいもの(太陽がぎらぎら照りつける、ざーさーと流れ落ちる滝)*強さも感じる

   長音(ちょうおん)  ・・・ ゆっくり(そーっと、どーんと、すーっと)、強調
  促音(そくおん)    ・・・   すばやい感じ(さっと、ひゅっと、ぴゃっと)、強調
   撥音(はつおん)    ・・・  共鳴音(きょうめいおん)(ごろん、がたん、ばたん)

                     
                           
                             

ここまで読んで、どんな印象(いんしょう)を持ちましたか。
芋阪(1999)は、オノマトペと日本人の五感には強い関連(かんれん)があることを調査しています。
五感とは触覚(しょっかく)視覚(しかく)臭覚(しゅうかく)聴覚(ちょうかく)味覚(みかく)です。
また、彼の言う、「オノマトペは身体のことばだ」には、興味(きょうみ)共感(きょうかん)を感じます。
オノマトペに関して多くの研究がなされていますので、興味のある方は調べてみてください。
なかなか(おく)が深いです。


back to learningtips INDEX

                                                        

 
                               





   
 
           、